側頭葉てんかん

パニック発作と似ているてんかん発作とは

痙攣などの症状が現れるてんかん発作は、脳の神経細胞が過剰に放電することが原因です。
脳の側頭葉という部分で放電が起きる側頭葉てんかんは、パニック障害と似た症状が表れることで知られています。
適切な治療を受けるためには、発作がどちらのものなのかを正しく診断しなければなりません。

側頭葉てんかんのてんかん発作とは、一体どのようなものなのでしょうか。

大脳皮質の形成障害や大脳の傷が原因

そもそもてんかん発作を生じさせる脳の過剰放電は、なぜ起きるのでしょうか?

主な原因は、大脳皮質の形成障害と大脳にできた傷の2つであると言われています。

遺伝すると思っている人が多いようですが、遺伝が原因とは言い難いです。
まれに発作が起きやすい体質を受け継ぐ人もいますが、このようなケースはあまりありません。
また受け継いだとしても殆どの場合は良性で、思春期の頃までに自然に治ります。

側頭葉てんかんの発作症状について

脳の左右側面には、言語・記憶・聴覚を司る側頭葉があります。
ここの深部にある海馬という器官に放電が起こるのが、側頭葉てんかんです。
側頭葉てんかんの発作は複雑部分発作と呼ばれており、他のてんかんの症状と比べるとかなり変わっています。

そのため、ノイローゼなど他の病気と間違えられることが少なくありません。
具体的には以下のような発作症状が表れるのですが、大抵は1〜2分で終了し、5分ほどで完全に落ち着きます。

  • 動作が停止して、一点を見つめる
  • 口や舌を、ペチャペチャと鳴らす
  • 意味のない言葉を繰り返す
  • あちこちを歩き回る

発作中は意識がないので危険!

発作が起きている間、患者さんには意識がありません。
多くの場合、発作が起きる前に表れる前駆症状によって、発作が起きていたことを自覚します。
前駆症状とは、発作が起きる直前にこみ上げてくる不安感、恐怖感、意識が遠のく感覚などのことです。
また攻撃的な性格になったり、些細なことでキレやすくなるといった変化がみられる人もいます。

発作そのものは穏やかですが、発作が起きる場所や状況が問題です。
例えばお湯を沸かしている時や、アイロンがけの最中などに起きた場合は、大火傷を負う危険性があります。
また過去には、入浴中に発作が起こったために、そのまま溺れ死んでしまった人もいました。

側頭葉てんかんの患者さんは、このような事態を防ぐために、家族と一緒にお風呂に入ったり、火を使うような家事は行わないなど、行動を制限しなければならないので大変です。

てんかん発作とパニック発作の違い

てんかん発作もパニック発作と同じく、発作が出る前に強い不安や恐怖を感じます。

しかしパニック障害では、上記のような症状はみられません。
口を鳴らしたり徘徊したりといった症状は、側頭葉てんかん独特のものです。
また側頭葉てんかんは、海馬の萎縮や脳波に異常が表れる病気です。

したがって脳の画像検査や脳波の検査で詳しく調べれば、パニック障害ではないことが分かります。

海馬の萎縮や脳波を調べて診断します

検査はまず、MRIによるスライス撮影で、海馬の萎縮の有無を調べるところからはじまります。

この検査で異常が見つからなかったら、脳波を調べる検査へと進みます。 脳波を調べる方法には、頬骨の下から電極を挿入する蝶形骨誘導法や、脳の表面に沿って海馬の近くまで電極を挿し込む頭蓋骨電極留置法などがあります。
これらの検査により側頭葉てんかんであると診断されたら、放電の震源地を切除する外科手術が行われます。

また最近では、MSTという海馬を切らなくても済む上に、記憶力障害の後遺症が残りにくいという画期的な治療法が開発されたので、そちらが施行される場合もあります。

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